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【530】人機対抗ドリームコンペの常勝者 [ビジネス]

 自分の若い頃を思い出すに、どんな道を選ぼうとも、仕事でそこそこ行けてる連中は『こうなりたい』というビジョンがはっきりしていたと思う。
 その場の尺を埋めるため、ただ質問を投げかけることそれ自体を目的にするのではなく、次の時代をチラ見するような軽やかな興味本位で、学生さんや新人世代に『あなたの夢は何ですか?』という質問をするが一昔前の会話作法の定番だった。
 答える方も深刻に考え込むほどもなく、『社長になってランボルギーニに乗る』とか『結婚して娘とケーキ屋さんをやる』とか、実はかなり具体性が高く実現ステップも明確に刻みやすい夢のイメージを、ごく自然に返してきていた気がする。そのために要する資本金の額や、社会からの認知度・羨望度あたりの低俗な?諸課題はちょいと横へ置いといて、『純粋に自分の好きなもの=自然体の理想像』を感じたままに組み上げた構想であることに注目しよう。

 三十路そこそこの私【525】から更に遡り、三十路チョイ前の時代のメモも発掘されている。

 『本来、生産活動の意義は単に生活の経済面維持だけであってはならず、精神的な充足を作り出すものでもあるべき』
 『自由競争社会に於いて組織を運営するにあたり、構成員の行動意欲を組織の収益活動に一致させることはマネジメントの最重要課題』
 『昇給システムでも福利厚生の充実化でもなく、仕事そのものに対する意識のポジティブ化こそ総力をあげて取り組むべきなのではないか』

 この時代、私は毎年迎える新人たちから『寝食を忘れるほど大好きな趣味』や『絶対こうなっていたい人生の夢』を聞き出すことを至上の楽しみとしていた。それらを基軸としたサラリーマン生活を各自が存分に組むために、自分はどんな接し方で育てれば良いのか、どんな仕事の形態を用意すれば幅広く皆が元気に頑張れるのか、そんなことばかり考えていた。
 『夢と業務目標を一致させるため』の、汎用性高い方法論を構築したかったのだろう。
 もちろん現実はそんなに崇高で格好いいモノでもなかったワケだが、まあ連日ドタバタと慌ただしく過ごすうち、若手くんが苦笑いしながら『作業場のみんなに、先輩と芸風が似てきたと笑われてしまいました…』と報告してくれた時にはまんざらでもなく、秘かにほくそ笑んだものである。
 これが世間一般の常識でもなかったと思うけれど、それにしても自分の関わる仕事が世代交代していく姿にワクワクした期待感が懐かしい。良い環境に恵まれて一番楽しんでいたのは私だったりして。

 これが今や『Q:就きたい職業は何ですか?/A:公務員』みたいな問答が、小学生相手で定番入りするような事態に変質してしまっているのである【476】
 基本、自分ならではの積極的な動機やそこに根差した働きかけとは全く別の事として、その立場を得るための関門さえクリアすれば後はラクとカネが手に入る、人生それでいい、仕事なんてそんなもんだという意味だろう。返すがえす、具体的な職種を答えてくれよ、頼むよ。

 こんな社会風潮で『働き方改革』なんぞと陳腐な寝言を口走ってみたところで、何の良いことも起こり得ないと保証する。まず手を打つべきは『こんな社会風潮』の方である。
 『こうしたい』『こうなりたい』と未来をイメージし、その実現過程を刻んで楽しみながら仕事をすることができなくなっているのが問題ではないのか。社会の生産活動において、『未来を描く』という予動がきちんと取れていないのだ。

 アナタは身をかがめず飛び上がることができるだろうか。
 到達点の狙いもつけず飛んだとして、適切な力加減を量れるだろうか。

 AI思考プロセス構築の技術的ハードルのひとつとしてあるのは、仮定の先の仮定がどんどん膨らんで計算量が爆発することだという【521】【522】
 手近な例を挙げるなら、今この作業が1分後に予定より1秒遅れたとすれば、その1秒の遅れが引き起こし得るトラブルの可能性とはどんなものになりそうか?
 次工程のスタートを1秒待たせる間に停電するかも知れない。異物が噛むかも知れない。
 とすると、それら種々のトラブルが各々その先で起こし得るトラブルとは…?
 みるみる枝葉が拡がり計算量が大爆発だ。どうせ迎える現実は、たった一本の道なのに。

 我々人間みたく時間の無駄に気付いて停止できないため、取り越し苦労というにはあまりに致命的な歩留りの悪さである。演算速度を上げれば上げるほど仮想事例数が増え、判断作業の材料として採るに値するかどうかの判定タスクも増える。高性能であればあるほど無駄が増える始末の悪さだ。ならば。

 AIに『先に将来の夢を与えてしまい、そこに向かって情報処理を収束させる』というコンセプトのプログラムは成立しないだろうか。まだまだ思いつき始めの放言に近い段階だが、誤解を恐れずエイヤっと乱暴に噛み砕いて述べると、こんな感じ。
 シンギュラリティ的な観点ではいきなり邪道な雰囲気も漂うものの、『いいから規定時間に目標台数ぶん組み立てて、とっとと歓喜の万歳コールやっちまおうよ』と固定の願望プログラムを先に人力で入力してしまう。…で、1時間に100台とか。
 まずはお気楽テキトーなラインスピードで動き出しといて、6分経過した時点で幾つ完成しているか見て、そこで次をどうするか決める。そうだな、30分も経ったところで30個にも届いていないようなら、その時点でアラーム発信と共にギブアップ停止。
 こうなったら人間くんが『1時間100台』を下方修正するか、ラインを物理的に改変して工程処理速度を上げるか、いずれかを選択するしかないし、そうすれば良い。
 人間くんも機械くんも、まず未来に向けて夢馳せるところから、楽しく生産性が高く成長の糧にもなる、充実した仕事が始まるのではないか。ダメなものはダメ、の見限りもまた然りだ。

 『働き方改革』とやらのトンチンカンたる所以を、ここなりに一回ぶん考察してみました。
 ニッポン技術立国を頑張ってAIの有効稼動が拡大するにつれ、いずれ活き活きと夢いっぱいで仕事を楽しむ機械くんを、しょぼくれやつれた人間どもが羨む姿が日常的になるのかも知れない。

 そのうちの一人にならないように、ゴールデンウィークのいつまでに、何をしましょうかね?
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