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【48】宣伝戦略の裏と向こう [ビジネス]

 週末なのでCDの整理をしていたら、ひとつ思い出したことがある。
 数年前だったと思うが、若い女の子の人気歌手ふたりが鳴り物入りでほぼ同時に新作CDを発表した。
 当時は絶大な人気を誇る双璧であり、それまでもCDの売上げを競い合う関係であった。やれ当代随一の才能の一騎打ち、どっちが勝つだの負けるだの芸能ニュースが賑やかだったこと。
 果たして発売の一週間後に発表された、その売上げ枚数は・・・

 驚くなかれ、かたや300万枚、かたや297万枚。あれ?

 このふたりは互いにライバル関係という世間扱いだったから、ファンも二分していたとしよう。
 すると一週間でざっくり600万人、日本総人口の20人にひとりがどちらかのCDを買ったことになる。ハイティーンから三十路前にウィンドウをかければ10人にひとり以上になるのはすぐ判る。
 300万という切れのいい数字と、そこから僅差1%を減じた297万という数字に対して
『少しぐらい、ひねれよ』と突っ込みたくなったのは私だけだろうか。

 そしてあっという間にブームが過ぎたあとには、巷の中古CD屋にセロファンを切られていない新品のそれらが、陳列台の一列を占拠するほどの枚数で並ぶのだ。
 到底あり得ない、空前の売上げ枚数の理由がなんとなく解ってくる。計算というほどの思考もないままにただ煽られて、何人が実質販売数に加担したのか知りたいところである。

 コンピューターでデジタル音源を組んだ伴奏をバックに独唱するスタイルも、あながち本人の音楽性が根拠ではないのかも知れない。使用料が時間100万円単位の録音スタジオに多忙な一流演奏家を集めてCDを作るためには、実は相当な売上げが必要なのである。
 時に声紋の画像データを前に音声研究の専門家まで引張りだして、
  『何十年に一度の逸材』
  『癒しの周波数を持つ奇跡的な偶然』
などとしゃべらせる番組も見た記憶がある。それなりに宣伝費も嵩んでいたはずだ。

 こんなことをしていたから、趣向を凝らした音楽を創出し、CDなどの音源を販売して成り立っていた文化形態が失われてしまったのだと思う。デジタル複製の普及により売上げ数が激減したのも事実だが、まともに御代と引き換えて手元に置いてもらえるような曲作りのビジネスモデルを放棄した業界も悪いのである。
 かつては競い合って毎年のように新譜を発表していた音楽家たちも、最近はとんと御無沙汰になってしまった。

 携帯プレーヤーに音源データを直接ダウンロードする方法が急速に普及してきたが、音楽との付き合い方の世間平均値がいっそう希薄化していきそうで怖い。
 音楽を愛し大切にする心は、人の情の深さと強い相関があるように思えてならないからである。


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